多摩川中流域



礫・泥・砂の連光寺層


連光寺層

 東京近郊で誰もが地層を観察できるような場所はどんどん失われている。連光寺層もそうである。
連光寺層は地質図によると多摩地域に主に分布する礫・泥・砂互層だが、その礫・泥・砂互層というのがどういう物であるのか、見られる場所は(ほとんど)残っていない。桜ヶ丘公園(聖蹟桜ヶ丘)にはあるかもしれないと思って探してみたが、そこには地層がむき出しの場所はなさそうだった。桜ヶ丘公園の周囲をめぐって通りかかった宅地開発地らしいところで、連光寺層が露出している場所を見つけることができた。

 数年後にはここも目に触れることができなくなるのかもしれない、というわけで、山や川の自然とは違う町中の物だが、その記録を写真で残しておこうと思った。
 この敷地に至るフェンスには東京都のマークが入っていたので、もしかしたら都の土地になっているのかもしれない。連光寺層という多摩地域の代表的な地層を観察できる場所として、都の文化教育施設としてこの宅地を、崖面には手を加えず、今のままの姿で保存できないものだろうか。


崖の眺め

連光寺

 道路からの眺め。上下2段になった宅地の奥に崖が露出している。


上段の宅地の崖

上の層  青灰
 左:崖の上部。中央部の砂利層に見えるのは小石を含む硬い土。その上も泥岩。
 右:崖の下部。下の方に削った跡が見える。削って露出した部分は青灰色になっている。


砂利を含む層  青灰
 上の組写真の少し左で撮った写真。
 左:崖の上部。中央の砂利層の上にさらに2層ある。大きな隙間の上は泥岩。さらにその上の薄目の層は硬い石。一番上は草の生えている土。
 右:崖の下部。やや黒っぽく赤茶けている。下に落ちていた赤茶けた石を割ると中は青灰色だった。


下段の宅地の崖

段違い

 下段の宅地は右に写っている石垣分プラスαだけ低い位置になる。
写真上部1/3の地層が、上段の宅地の崖の下部で見られた青灰色の層にあたる。

小山風

 上の写真の少し左の位置。いくつかの地層が小山状になっている。上から青灰色の層、中央の厚い部分は柔らかめの砂の層、その下は横縞があり、レンガ状に見える。硬い石。一番下の茶色い部分も硬い石。

 何層もの違った性質の地層が交互に現れており、なるほどこれが礫泥砂互層か、と納得した。いままで、大丸堰の奥や大栗川の川岸で見てきた砂層を中心とした厚くて長い2層の崖とは全く違う地層の風景だった。

 大栗川が多摩川に合流する場所にある交通公園の裏の崖は、連光寺層の崖ではなく、稲城砂層の崖であると考えて良い。

(2007年3月撮影)





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