多摩川中流域



大丸堰奥の秘境
(2)思いがけない滝や岩



段丘の先へ

 稲城側の大丸堰の奥に入って、崖が断続して続いているのを見てきた。
崖は直接多摩川やその支流の大栗川(乞田川)に落ち込んでいるのではなく、河川と崖との間には広い段丘の草原が発達していた。
崖は少なくとも二層あり、下部はよく締まった黒っぽい砂質の崖。この崖は長く続いている。上部は黄褐色の砂層の崖。地形によって断続していた。

 その様な崖を見ながら大丸堰から1キロほど来たところで段丘は終わった。
踏み跡に従い下におり、小川を渡った。

下に降りる

 小川を渡り振り返った景色。降りた段丘の高さは1.5〜2メートル。

小川

 段丘の下の小川。飛び石伝いに対岸に渡れる。この先は道はなく、踏み跡だけ。

小川

 いよいよ秘境の感じ。雨のあとなので水は濁っているが、前来たときはもっと澄んでいた。
歩いて行くにつれ、左の笹藪の奥でざわざわザワザワ音がしてくる。誰か笹藪に入り込んで作業しているのかと思ったが、そうではなかった。



小さな滝が連続した流れ込み

流れ込み

 池のように広くなったところで小さな沢が流れ込んでいる。ザワザワした音はダーダーとした音が入り交じり、この小沢の奥から聞こえている。

流れ込み  

 右に左に穴をうがち、小さな滝が連続して、小川に続く池に流れ込んでいる。 多摩川の中流域でこのような風景が見られるとは思ってもいなかった。
この流れ込みがここの池と小川の水源。この先、上流はやがて砂になる。


黒っぽい崖の連続はここでも

岩の崖  

 鉄錆のような赤橙色の模様の付いた崖。これもよく締まった砂質の層。高さは3メートルぐらい。この崖はさらに上流の方に続いている。
前に見てきた黒っぽい幅の広い崖と同じもののようだ。鉄錆のようなものは鉄分を含んだ水分のしみ出しによるものだろうか。


岩の崖の奥

 黒っぽい崖は奥に長く続いている。その上には黄褐色の崖もところどころで見られる。


剥離  剥離塊

 黒っぽい崖の剥離。剥離塊が下にゴロゴロしている。表面は赤褐色の部分もあるが、内側は青灰色。触ってみると柔らかい砂。剥離塊の角の部分など、雨に打たれたせいか、崩れかけたところも見られた。


崖の奥

 この崖はさらに奥に続いている。崖のふもとは枯れ葉が積もっていて、人ひとり通れそうな空間になっている。上からの剥離片や土砂の落ち込みで草木が育たないのだろう。


硬い岩の露出

 ところで、少し戻るが、赤橙色の模様の付いた黒っぽい崖の下部に、あまり目立たない黒灰色の部分がある。緩やかに波打って、上の崖が乗っている。黒灰色の部分は、その上の崖よりも傾斜がなだらか。

岩のある崖

 この黒灰部が砂利の上に露出している部分は高さにして20〜50センチぐらい。扁平な瓦が積み重なったような雰囲気をもち、硬い。

硬い岩   硬い岩

 こんな硬い岩がこの辺で見られるというのも予期しないことだった。剥離した扁平な岩の断片が落ちていた。石に強く当てたら割ることができた。表面は黒ずんでいるが、断面は黄褐色で砂質。
稲城砂層の基部にはこんな砂岩があるのだ。


バードウオッチング小屋の対岸の崖

バードウオッチング小屋

 長い崖を見ながらあるいていると、河原に出た。バードウオッチングの小屋も間近。

斜面左手の崖

 バードウオッチング小屋の対岸に見えた崖の1つ。
中央に黄土色の砂層が露出している。その右下には茶褐色で滑らかな感じの小さい崖。
背景はなだらかな広い斜面。


台座の木

 緩やかな斜面の中に、枯れ木に枯れ草が覆い被さってお化けのようになっているものを見つけた。これは夏にサギが座っていた、葛の葉の緑で覆われた台座だ。逆光のおかげで枯れ木がよく見えた。
(2007年2月撮影)




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