多摩川中流域
南多摩水再生センター
3月のある日、年末の大掃除でトゲが刺さって残っていたのに気がつかず、親指の爪の脇を2回も切開した。痛さを紛らわすためゆるゆるとサイクリングしていて、ふと入り込んだのがここ南多摩水再生センターだった。以前からいつか見たいと思っていたところなので、後日あらためて見学を申し込み、案内してもらった。水再生センターは、以前は下水処理場と呼んでいたもの。
南多摩水再生センター
南多摩水再生センターは大丸の多摩川沿いにある。
構内はとにかく広い。構内の道からの眺望。テニスコートのような物がたくさん並んでいる。この1つ1つが水を処理する池。
多数の処理池の左手にある管理棟など。奥の大きな煙突付きの建物は別の施設(清掃工場)。
多摩川の流域には7ヶ所の水再生センターがある。南多摩水再生センターは主に八王子市、多摩市、稲城市の下水の再生にあたっている。
下水の処理、再生
各地から水再生センターに集められた下水は、沈砂池、分水槽、第一沈澱池、曝気槽、第二沈澱池、塩素接触槽、を経て多摩川に放流される。
沈砂池のある建物。水再生センターに送られてきた下水が最初に処理される場所。台所の排水もトイレの汚水もすべてここに集められる。
第一沈殿池。沈殿しやすい物を沈殿させる。沈殿した泥は脱水して焼却する。
曝気(ばっき)槽(反応槽)。第一沈殿池から送られてきた下水は、ここで好気性微生物が入っている泥(活性汚泥)と一緒にかき混ぜられる。とけ込んでいる有機物は微生物のエサになり、分解される。微生物は泥の周りにかたまって増殖し、沈殿しやすくなる。
活性汚泥で働く微生物(この写真は水再生センターの見学室の物)。種々の微生物が食物由来のゴミや汚物などを分解する。アメーバやラッパムシなども活躍している。これらの写真に示されていないさまざまなバクテリアも活躍している。
これらの微生物は下水を通じて自然に集まった物らしい。
第二沈殿池。微生物が繁殖し沈殿しやすくなった泥はこの第二沈殿地で静かに沈殿させる。上澄みのきれいな水が櫛の歯のような縁からあふれ出し、横の溝に流れ込んでいる。
焼却炉
第一沈殿池で沈殿した物、および、第二沈殿地で沈殿した活性汚泥のうち曝気槽に戻されず余分になった物は、ここで焼却される。
この焼却炉が多摩川の対岸から水縞模様の建物として見えている。
新施設
巨大なビルの柱だけできた工事中のような建物。まだ中は空っぽかと思ったが、実は稼働中の最新の水処理施設。
床の下に沈殿池や曝気槽などがある。
この設備では、嫌気槽や無酸素槽というのもある。ここでは酸素の乏しい環境を好んで成育する微生物を利用している。
この設備の隣の敷地ではさらに新しい系列の設備を建築中。非常に深く、広い。奥の方に工事中の人が小さく見えている。
放流
再生された水は多摩川に放流されている。写真奥はJR貨物線の鉄橋。写真中央に放水路がある。多摩川流域には6−7ヶ所の水再生施設があり、これらの施設から放流された水は多摩川の流水のかなりの部分(5割以上?)を占めるとのこと。
多摩川への放水路。
多摩川の岸に降りて見上げた放水路。勢いよくドウドウと音を立てて水が流れている。曝気効果もあるようだ。
放水路の上流にある大丸堰の眺め。
水再生センターの奥にある施設は渇水時に水を補給するための物。
水再生センターの構内にも再生された水の一部が放流されている。溝にはきれいな緑色の水草が見える。
ここの水再生センターが、多摩川流域の下水処理の最初の場所だったらしい。
多摩川の対岸からの水再生センターの眺め。
(2007年3月撮影)