多摩川中流域

18.石の川探索



石の川

中野島の土手道から多摩川を見ると、本流の手前に白っぽく石の川が見える。
石の川はもちろん水は流れていない。しかし、たぶん大雨で増水したりしたときに水が流れるのだろう。
この石の川の下流には何回か訪れた河原の池がある。先日行ったときは大量のコイが泳いでいて、大雨の時に本流から集まってくるのだと聞かされた。
石の川の上流には堰堤がある。増水したときにはサイレンが鳴らされ、水門が開き放水されるらしい。
だから、この石の川は増水するたびに水の流れる川になる。したがって草の生えるひまがない。
石の川

土手道から見る限り、この石の川の先頭が本流までつながっているのかどうかよく分からない。
土手道から河原に下る車の通れるような道が3本ある。
梅雨の中休みのある日、中程にある1本の道を下り、河原に下りた。



石の川の上流へ


さんぽ

河原におりると、そのむこうに石の川がある。散歩している人がいたが、川岸でむこうがわに石を投げていた。

上流

石の川に下り、上流側に進んだ。
石の川の河床はゴロゴロした中小の石ばかり。草はまったく生えていない。



石の川の頭

川筋はだんだん狭くなり、本流にはまだ遠いのに、石の川は突然終わった。
石の川の頭だ。

源頭

げんとう

川の頭は幅1メートルほど、深さ40センチぐらいで、周囲の砂利や泥からえぐれている。
石の川は徐々に本流に至ると思っていたので、まったく予想外の風景だ。



頭の上流は枯れ草の地

頭の上流は泥と砂利の中州の一部。頭の先には踏み跡の道があったが、
草地を少し進むとその道も消え、辺り一面の草が枯れて倒れている場所になった。

草と道



上流

枯れ草の下はまだ少し湿っている。ヘビが出ないか、何となく気味が悪いので、途中から脇の小高い中州に逃れて上流に進んだ。
写真はるか前方に写っているのは三沢川の水門と二ヶ領用水の堰堤。



本流からの入り江

中州のほぼ先端についた。上流に向かって左に本流からの入り江。
入り江の草の陰からはカモの親子が泳いで出ていった。

入り江

入り江

いりえ

中州から本流を見、入り江の周りを見てみた。石の川に流れ込むのはこの入り江のあたりからのようだ。
入り江から下流に向かうと、右側では少しえぐれて砂利が露出している。左側では草がなぎ倒されて枯れている。
両方とも水の流れた跡に違いない。

下流

入り江と枯れ草の地との間は少し高くなっている。今の水位から40センチ以上上がらないと越さないと思われる。
しかし、この入り江の下流側では、枯れ草が広い帯になって向こうを向いてなぎ倒されている。
増水の時には激流がもんどり打ってここを越え、草地を一気に流れ下り、石の川に流れ込むのだろう。



帰途に見たもの

入り江からの帰りはできるだけ水が流れたと思われる場所の中央を帰途に選んだ。
倒れた枯れ草は根元側から踏んでいけるので歩きやすかった。
枯れ草の広がっている場所の中心付近で思いもかけないものを見た。

こい

コイの死骸。2〜3メートル置きに点々とコイの骨と皮だけの死骸があった。
カラスにつつかれた後だろうか。
この辺はまだ緑の草はほとんど生えていないので、最近まで水たまりとして残っていたのかもしれない。
コイの死骸は
本流からの流れがあったことの証拠だ。



下流の池へ

もと来た場所に戻り、さらに石の川を下流に向かって進んだ。
下流にはちょくちょく訪れた池がある。この石の川はあの池につながっている。それを自分の足と目で確かめておきたい。

その池までは石の川が中断することなく続いていた。
ただ、河床は池の近くで少し高めになり、まばらに草が生えていた。
河床にも起伏があるということか。


下流

いけ

途中で犬の散歩をしている人に出会ったので話を聞いた。

 この石の川は大雨の時には水が流れる。
 水門を開けたために流れるのかどうかは分からない。
 もともとはここは水が流れていた。その辺の石組は釣りをするためのものだった。
 本流との間は時々ブルドーザーが入って砂利をどけていたようだが、水の流れですぐ砂利で埋まってしまう。
 この辺の中州では時々キジを見かける。野良猫に追われていることもあった。
 あそこの池にはカワセミもくる。

いろいろと収穫のある石の川探索だった。
(2006年、7月初旬)





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