多摩川中流域

濁流の跡、砂と石のふるい分け


中州の岸に泥岩の層?

 地質に興味を持って多摩川を眺めるようになった。あるとき、流れの向こうの中州に泥岩の層のようなものがあるのに気がついた。

泥岩?

 川岸の泥の層のようにも見えるが・・・
ただの泥の層か、泥岩の層か?

泥岩?

 断続して草の陰から出てくるので、泥岩の層かも・・・。
そのうちいつか中州に渡って調べてみようと思っていた。(泥岩ならたたいたら硬いかも・・・)。

石のある川

 対岸の岸に泥岩の層らしきものが見られる場所は、中州との間が細い入り江のようになっていて、大きな岩が流れの中にゴロゴロしているところ。この辺としては他に大きな岩があるところはなく、ちょっと変わった雰囲気の所だ。
 ただし、岩は自然の雰囲気で並んでいるが、本来の地層の岩ではないだろう。
このような硬い岩は中生代(以前)のもので、八王子辺りまで行かないとその様な地層は出てこない。 


中州へ

石のある川

 数日後に、その機会が訪れた。流れの細くなったところで中州に渡る。流れは湧き水で清らか。穏やかな風景。
小魚が素早く逃げた。


濁流の跡

なぎ倒し

 中州に渡って下流方向に砂利や草の上を行くと、いきなり、なぎ倒された木立やそれに絡まった枯れ草の風景が現れた。土手のほうから中州を眺めていたときにはまったく気がつかなかった。

枯れ草のかき

 数日前に2つ(3つ)玉低気圧が通過し、雨風が激しかったので、多摩川も増水し、濁流が流れたのだろう。
中州の草はほとんどが下流方向に倒れている。木立の根元にトラップされた枯れ草の多さや高さから、この中州の上を流れた濁流が相当ものすごいものだったことが感じられる。


砂と石の分離

石と砂

 しばらく行くと、砂と小石が分離しているところが目に付くようになった。この写真では右上が中州の中心部で、左下が川岸の方向。低いところは小石が集まり、その脇の少し高いところは砂ばかり。

砂利と砂

 砂と小石は完全に分離しており、砂は草の陰か、草の上、あるいは少し高い場所。濁流が砂を巻き上げ、そうしたのだろうか。

砂と草

 草の上に砂の層ができ、そのまた上に草が倒れて覆っている。砂の層の下には空洞もある。


川岸へ

川岸へ

 厚みのある砂の層は川岸の方に向かって流れるように存在している。その先端は川岸に出ている。

川岸の砂

 砂の層が川岸に達しているところ。これが土手の方から泥岩の層のように見えていたものだ。上に乗ると少し柔らかく、ズブズブとへこみかけて、下の方からは水がしみ出した。

草の上の砂

 草の上から川岸に達しているところ。砂には粘着力もあるのだろうか。残雪みたいな感じで積もっている。

砂と中州

 この写真の手前は草の上に積もった砂。草の向こうは中州の砂利ばかりの所。
写真右上から手前に向かって水が流れたことが、草の倒れ方で分かる。



中州を歩く


中州

 砂利ばかりのところをさかのぼってみた。

草の脇

 砂利の中州でも、横に草の生えているところでは、草の陰に砂が溜まっていた。

石と砂

 ちょっとした防壁があったり少し高くなっていると、そこには砂が溜まっている。

 水の勢いが砂と小石をはっきりと分けてしまうことが分かった。両者は背中合わせに存在し、草があるか、少し高いかということだけでその存在する場所が分かれている。
そこでは、徐々に石の大きさが大から小へ、そして砂へと変わって分布しているとか、石と砂の混ざり具合の比率が変化していく、ということはなかった。

 このような別れ方は水の勢いの強さにもよるかもしれないが、もしこのままの状態で将来地層になったときには、砂層と礫層が同一の場所で同時に出来て存在するということになる。ある部分を見て、その辺は砂層だと思ったものが、じつはすぐ隣に礫が隠れている、ということもあるかもしれない。
(2006年10月 撮影)





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